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Hope in Hell

MSFの成り立ちや派遣スタッフの体験談を通して人道支援の理念や必要性を描いており、医療スタッフだけではく、水・衛生やロジスティシャンなどの非医療スタッフにも着目している点で、本書はMSFを知るための優れた入門書である。とりわけ、「治療だけではなく証言する」というMSFの理念や、現場での失敗や倫理的葛藤についても描かれている点において、安易な感動物語ではなく、理想と現実の緊張にたいする視点を与えている。 一方で、現地採用スタッフや患者が主体として語られる場面は極めて少ない。全体的に、支援を受ける社会は物語の舞台として位置づけられ、叙述はグローバル・ノース出身の派遣スタッフを中心に構成されている。その点で、本書には「支援する側が語り、支援される側が語られる」という、ポストコロニアルな非対称性が残っている。とはいえ本書は2006年に出版されたものであり、このような構成は当時の人道支援活動自体が抱えていた構造的な特徴を反映しているものだと言える。

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