マーガレット アトウッド
Memuat...
奇しくもわが国にも確か10年前くらいに「女性は産む機械」と表現した厚労相がいたやに記憶しているが、侍女の物語とその続編The Testaments(誓約)ではまさに社会が女性を産む機械(=侍女)として扱う未来のアメリカ、クーデターにより成立されたキリスト教原理主義国・神秘主義国であるGileadの姿が描かれている。 簡単に言えば、物語世界の中で女性は①妻になるか(=Wives/Econowives)、②家事をするか(Marthas)、③(上流階級である妻Wivesが不妊の場合)子供を産むか(Handmaids)、④女性たちの指導役になるか(Aunts)のどれか一つしか選ぶことが許されないなど、他のディストピア作品と同様強烈な描写が続くが、この作品世界から乖離しているとは決していえない現実世界のことを思うと、常に物語に私の腕を掴まれているような心持ちで向き合わざるをえないのであった。つまり、一作目の侍女の物語が発表されたのは1985年だが、その後Gileadに似たようなISIS(キリスト教ではなくイスラム教だが)が現実の世界に登場したり、各国で極右政権や反知性・科学主義が台頭するな...
『誓願』(Margaret Atwood 著、鴻巣友季子 訳、早川書房、2020年)は、『侍女の物語』の続編で、独裁国家ギレアデ共和国の崩壊前夜を三人の女性の視点から描きます。1人目はギレアデの冷酷な権力構造の内部に生きるリディア小母、2人目はギレアデで生まれ育ちその価値観を内在化させる少女アグネス、3人目はカナダで自由に育ったデイジーです。本作は三者の日記が交互に語られる形式を取りますが、3人はやがて打倒ギレアデという共通の目的の下に交わり、シスターフッドの物語となります。 『侍女の物語』の原著は1985年に発表されディストピア小説の代表作と評されるまでになりましたが、続編である『誓願』はそれから34年が経った2019年に出版されました。その背景には2017年にHuluで放送開始されたドラマ版が注目を集めたことや、現代の政治状況において同作が取り上げられる場面が増えたことがあるとされています。...
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