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事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学
『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』(Tali Sharot 著、上原直子 訳、白揚社、2019年)は、データやロジックと説得力は別物であるということを、認知神経科学の観点から解説する本です。 反ワクチンの人に、子どもにワクチン接種を受けさせるよう説得するとしましょう。「ワクチン接種と自閉症に因果関係はない」という事実をもって相手の信念を否定しようとしても、相手は頑なになるだけです。認知能力の高い人であれば、自分にとって都合のいいデータを引っ張ってきて自説を強化してしまいます(確証バイアス)。このような状況では、「ワクチンは大きな病気から子どもを守る」という共通の目的からアプローチし(感情への寄り添い)、まずは「この人の話を聞いてやってもいい」と思ってもらうことが大切です。 本書で語られている内容は、さまざまな場面で活用できます。上司に提案を通す、子どもに野菜を食べてもらう、有権者に特定の候補者を支持してもらうなど。事実を並べるだけでは動かない局面で、「相手が大切にしている価値」や「共有できる目的」から入り直す、という発想が手に入ります。