
前田夕暮の百首
◆百首シリーズに前田夕暮が登場! 果てなき「更新」の夢―― ◆作品紹介 直突(ストレート)だ、空撃(ミツス)だ、鈎突(フツク)だ、ボビイの顎が右から左から撃ちひしがれて――鐘ゴング! (『青樫は歌ふ』より) ボクシングを題材とした連作「拳闘」の一首。ファイタータイプのボクサーだったライオン野口の激しい攻撃が、短い言葉を畳み掛けた饒舌な口語体で表現されている。口語自由律の文体とスポーツの躍動感の相性の良さがよくあらわれた歌だ。この文体は後世のスポーツジャーナリズムや実況アナウンサーの話法にも、多少なりとも引き継がれている部分があるのではないか。昭和の音楽に詳しい人なら、石原裕次郎「嵐を呼ぶ男」(一九五七年)の一節「フックだ、ボディだ、ボディだ、チンだ」を思い出すかもしれない。
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