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一隅

山下知津子

◆第三句集 水仙に水仙打ちて火を鑽らむ 『一隅』は『文七』『髪膚』につぐ私の第三句集です。 二〇〇五年以降の四〇四句を収めたこの句集を出すことができたのは、ひと えに私の背中を強く押してくれた「麟」の仲間のおかげです。 (あとがき) ◆自選十五句 井戸水にくもる庖丁ほととぎす 水仙に水仙打ちて火を鑽らむ 薄氷にいまだ直線残りをり 冬雀詩人の獄に窓ありや 桜から藤へ翳りの深まりぬ まつさきに火とならむ髪洗ひをり 出撃のなかりし父や臓うるか 夏椿水脈を曳きつつ落ちにけり ダリア立つあなたにはまだ剪れざると 凍蝶や中村哲が野に不在 一戸ごと正午の影や敗戦日 こちらからのみ渡る橋曼珠沙華 十薬の一輪づつの濁らざる 深海の沈船を発ち黒揚羽 父母の墓域の裾を下り鮎

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