ジョゼ・サラマーゴ
河出書房新社
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視界が白い光で覆われてしまう感染病が広がっていくなかで生き抜く人々と、ただ一人だけ視力を失わなかった女性を描いた小説。 ふと人の弱さ、残酷さ、高潔さ、尊厳などについて考えるとき、この小説を思い出します。
『白の闇』(José Saramago 著、雨沢泰 訳、河出書房新社、2020年)は、空気感染で人を失明させる正体不明の感染症が突如大流行するという設定のディストピア小説です。原著は1995年に出版されました。 舞台は感染者たちを収容する廃病院で、政府から見放されたその施設では感染者が増えるに従ってモラルが崩壊していき……というホラーな展開です。『ペスト』とは一転して非現実的な設定ですが、その分、読者を没入させるようなおもしろさがありました。 Saramagoはポルトガルの作家で、1998年にノーベル文学賞を受賞しています。未邦訳ですが、2004年には『Ensaio sobre a Lucidez』(見えることについて)という姉妹作を書いているそうです。また、本作は2008年に『ブラインドネス』として映画化されています(想像するだけでおぞましいシーンが多かったので、映画を観たい気持ちにはなれませんが)。