全体主義の管理社会化した近未来の日本を舞台に、孤独な青年・狂四郎が、モニター越しに出会った少女との再会を願って過酷な世界を生き抜こうとする物語。自由を求める男と女、天才脳科学者の脳を移植された犬、二人と一匹の全身の革命物語。 エロもグロもあります。徳弘正也のお下劣ギャグ満載でありながら、それを超えてくる強烈な人間ドラマがあります。何度でも読みたい。
銭湯を営む女性・かなえが、失踪した夫の不在を抱えたまま日常を続けるなかで、自分の過去や感情、そして他者との距離に静かに向き合っていく物語。 リズム、間、表情がとてもよい作品です。派手な展開より、人物の内面や余韻を味わいたい人向け。
昭和ジャズ青春漫画です。1960年代の九州を舞台に、内気な優等生・西見薫が、不良っぽくて自由奔放な川渕千太郎と出会い、ジャズを通じて友情や恋、青春の痛みを知っていく物語。
妖(あやかし)を呼びよせてしまう烏森学園を守る結界師の後継者の和風ファンタジー。 バトルだけでなく学園、友情、恋愛、家族、セカイと楽しめる要素がたくさんあり、全35巻と長編ですが、最後まで中だるみせず、完成度の高い作品でした。
禁忌の錬金術を行った代償に左足と右腕を失った兄と全身鎧の姿となった弟が、元の体を取り戻すための旅を描いた物語。 最高峰の完成度と満足感。万人におすすめできる作品です。
戦争に明け暮れるヴァイキングたちと、平和への道を探求する人々。復讐に取りつかれた主人公がどのような人生を送るのかを描いている。序盤は戦闘ばかりですが、終盤に向かうにつれて戦闘だけではない面白さがあり、とてもよい作品でした。
震災後の宮城県石巻を舞台に、いじめにあっている女子高生のサキと北上川にある不思議なカフェの話。日常とたまにファンタジー。おもしろかったです。
例に出てくる登場人物の名前に注目。
ラン革命後の厳しい統制下にあるテヘランで、文学教師の著者が女子学生たちと密かに欧米文学を読み合った日々を描く回想録。『ロリータ』などの文学作品を通して、抑圧のなかでも個人の想像力や尊厳を守ろうとする姿が描かれ、「読むこと」が自由の実践になりうることを示している。
このレビューにはネタバレが含まれています。 クリックすると、ネタバレを含むレビューを表示します。
「ひとりただ くずれさるのをまつだけ」 この詩を書いた12歳の少年のことを考えると、わたしやわたしたちの社会に足りないものはなにかを考えます。
ブルデュー「ディスタンクシオン」に挑戦して挫折した人におすすめです。
近代社会で人間が自由を手に入れた一方で、その孤独や不安に耐えきれず、権威や集団に依存してしまう心理を分析した思想書。 現代社会おいても、ファシズム的指導者が民主主義によって選ばれたり、自由を標榜するリベラリズムが規制派になったり、知らず知らずのうちに自ら自由を手放す動きがあります。この本から学ぶことは非常に多いと思います。
「わたしたちの道徳的な善さや悪さが幸運や不運と無関係だと言えるのかどうか」ということについて分析した書籍。 倫理学を運の側面からアプローチするというとても面白い試みで、非常に重要な観点だと思いました。「こち亀」のような漫画を例に出したり、初心者にもわかりやすく読めるように工夫されているので楽しく読めました。
自身の内面にある欲望や感情を隠しながら「普通の人間」として生きようとする青年が、その仮面と本心のあいだで葛藤する姿を描いた小説。 三島由紀夫の自伝的な要素も強いと思います。
圧倒的な美としての金閣寺に執着し、その美と自分との関係に苦しみながら次第に歪んでいく内面を描いた物語。 現実から概念へ、概念から現実へと反復しながら、二つの世界が互いに干渉・呼応して進んでいくプロセスが三島由紀夫らしくて面白いです。
盲目の美しい女主人・春琴と、彼女に絶対的な献身を捧げる佐助との異様で濃密な関係を描いた物語。 愛情、崇拝、支配、自己犠牲が入れ混じり、谷崎らしい耽美的で倒錯した世界が展開されています。 文章が句読点を省略した実験的な文体になっていて最初は戸惑うかもしれませんが、途中から驚くほど読みやすくなり、面白い読書体験になると思います。
キム・ジョンギが好きで買ったのですが、寺田克也の作品も素晴らしかったです。
眺めてもよし、読んでもよし。時間が溶けます。
孤独や劣等感を抱えた青年フィリップが、恋愛、芸術、信仰、人生の意味を求めながら、自分を縛る執着や幻想と向き合っていく物語。 十代のころから何度も読み直していて、そのたびに新しい発見と共感を与えてくれます。「月と六ペンス」と並んでモームの傑作だと思います。
奔放で欲深い父と、性格も価値観もまったく異なる三兄弟を中心に、人間の愛、信仰、国家、理性、欲望、そして罪の問題を深く描いた長編小説。 この小説が提示した命題は何年たっても議論され続けるだろうと思います。
アマゾン奥地で暮らすピダハンの人々と過ごした体験をもとに書いたノンフィクション。 彼らの独特な言語や価値観、時間感覚や世界の捉え方を通して、「人間にとって言語とは何か」「文明的な常識は本当に普遍なのか」を問い直していく言語学・文化人類学的な書籍。 日常ではあまり感じることのない疑問を与えてくれました。
近代社会システムの原理である自由な主体とそれに生じる責任を、逆転的に分析した書籍。社会のメタ分析的アプローチとして非常に面白かったです。
狂乱の1920年代アメリカを舞台に、豪華な邸宅で派手なパーティーを開く謎の大富豪ギャツビーの隠された人物像を描いた物語。 何度読んでも新しい発見があり、十代のころから何度も読み直していて、わたしの生涯の友といえる作品です。 日本語で入手しやすい村上春樹訳、野崎孝訳、小川高義訳のなかでは、村上春樹訳がもっとも読みやすいと感じました。ハマったら他の訳で読んでみると新しい発見があったり、印象がやや変わったりすると思います。
Bibly を正常に動かすための必須 Cookie と、読者のみなさんの使い方を理解するための任意の分析 Cookie を使用します。