図書館にて。マーリンについてはゲームで少し知っていたので読んでみた。読みやすくはあるが、序盤の悪魔の策略などリアルな描写やキリスト教を背景にした要素など非常に楽しめる内容だった。悪魔の子ということもあり、マーリンは神の側の人間ではあるものの、アーサーの誕生のために他人の妻を奪う作戦に乗っかるなど見方によっては悪魔的な部分も垣間見える。その辺も含めて神話に比べると世俗的で読みやすい内容なのかもしれないと感じた。悪魔の破滅に導く手法などは身を守るためにも役立ちそうなので、新社会人などにおすすめしたい。
図書館にて。前職の経験もあり読んでみた。私は本書で扱われる若者に該当するのだろうが、言われたことがあるという内容や心当たりのある内容がある。一方でその対処や活かし方については言及もなく、唯一の実践的な内容も親の育児法についてである。つまり本書は若者に向けた本ではなく、若者の扱いに困っている30〜50代以降の読者を想定した、若者についての解説である。筆者自身も世代を作った人間の1人であるという責任感や実感が文章から感じられない。人事部や創作者には良いかもしれないが、若者をわかったつもりにさせる可能性もある。
図書館にて。非常に読むのに時間がかかった。専門家が2階で行う「哲学」への危機感や哲学カフェへの希望などを述べつつ、哲学の臨床について意見を述べている。第三者的に自分や他人を見る立場はなく、他者とのダイアローグから思考を重ねていく、そのぐずぐずした歩みこそ哲学ということだろうか?哲学を学ぶ本というよりは、哲学者による哲学に対しての問題意識を吐露しつつ、哲学をすることを伝えているように感じた。また、読みながら経済学と経営学のアプローチの違いについてぼんやりと思い出した。研究者を目指すなら読みたい本と言えるかも
図書館にて。初めてシャーロックホームズを読んだがとても面白い!短編8話からなるが1日で読み切れた。扱っている内容も失踪事件や傷害事件など必ずしも殺人が起こらないながらも不可解な点を残しつつ、読者を惹きつける。さらに全ての事件に関する謎は端的に解決されており、読後感も良い。背景のドラマも人間味のあるため楽しい内容であった。余談だが、シャーロックホームズを読む際にはいしいひさいち氏のキャラクターが頭に浮かんでしまうので、私にとってはそこも読みやすい要因だったかもしれない。
図書館にて。『信長』を読んでから坂口安吾に興味を持ち有名なこの本を手に取った。戦争の影と、何処か退廃的、堕落的な生活の中に人の矜持のようなものを感じられる。おそらく子供の頃読んだとしても私には理解し得なかっただろうというのは私の感想である。「青鬼の褌を洗う女」は最後の孤独な魂についての洞察が引っかかっている。端的に真実を述べているからこそ納得がいき難いのだろう。女性目線の文章の中に男性的な考え方のようなものを感じるが、とても面白かった
図書館にて。中国の歴史小説を多数書いている著者の講演や語りをもとに文章が作られており読みやすい。他方、個人の感想と事実が入り乱れている。歴史書ということもあり、そのようにも読めるという態度でいた方が良いと思われる。漢の頃の中国のエピソードは興味深いものであったが、歴史を応用するというタイトルからするとどうだろうか。むしろ、応用や実用的な面から物事を学習することに警鐘を鳴らす立場に立っているように思えた。作家としての苦悩や執筆時のエピソードが掲載されているため、作者の著作を読んでみたいという気持ちになった。
図書館にて。キケロと聞くと詭弁家、衆愚政治という言葉が紐づいており、高校の授業でもさほど取り扱われない存在であったため手に取った。キケロの評価は二分されており、修辞学、雄弁について評価する向きと政治手腕や記述について疑問視する声がある。資料の散逸している部分もあり今後の研究が待たれるといったところだろう。しかしながら、キケロの文章(特に弁論家と実学と哲学の理念的な部分の対立など)には説得力があり、本人の実践はともかく納得感はあった。本の書き方として「言うまでもない」など学者風な表現もあるが読みやすかった。
図書館にて。有名ではあるが小林多喜二を読んだことがなく、読んでみようと手に取った。搾取される労働者の資本家への反抗を描いているが、反発から行動に移るまでを刻明に描いており非常に興味深かった。他方、『党生活者』に顕著だが、資本家への搾取の反抗の果てに何を待つのかについては不透明に感じた。資本家の搾取へ反発した後の秩序については特に触れず、仮に成功しても主人公は救われないのではないだろうか?あるいは別の搾取が発生するのではないだろうか?逆に監督や工場側の視点から反抗をどのように抑えるか検討するのも面白いだろう
図書館にて。ローマを舞台に世俗者の主人公ユリウスとキリスト教徒パンフィリウスや世俗を説く医者の対話を中心に物語は進行する。パンフィリウスの説明や説得に対して易々とユリウスがのるのでなく、議論、逡巡が繰り返されるところにトルストイの苦悩や思考を感じることができる。トルストイの生存の時に本文章が完全な形でロシア内に出ることはなかったそうだが、たしかに国家の否定を孕みかねない点で難しいと感じた。 他方でパンフィリウスの説く生活は理想であるが、支配者が民意を獲得する演説にも聞こえてしまうのはひねくれているだろうか
図書館にて。学校で習った世界史で一度は聞いたことがあるであろう秦檜や袁世凱などを扱っている。共通しているのは掲載されている人物が政治的に指導する立場であり、人民を鑑みずに私利私欲に走った点である。意外にも武則天は来舜臣の章では政治家らしく描かれていたように思える。一役人や農民が天子や権力者にというのは昨今のなろう系小説でも描かれるシンデレラストーリーではあるけれども、現実はそう甘くはないようだ。
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図書館にて。現在の文学理論の潮流となった4つの理論、ロシアフォルマリズム、言語行為論、読書行為論、昔話形態学を文学作品を引用しながら紹介している。読んでいて難しい部分もあるが、わかりやすい内容であった。一方、その理論の革新さ、画期性についてはわかりにくく感じた。ひとまず、物語の特定の人物の心情に寄り添った読み方、筆者の背景に寄り添った読み方だけが正しい読み方ではないということだろう。面白かったのは昔話形態学で、物語の構造を抽出するというオリジナリティへの挑戦を感じさせる野心的な研究と感じた。
図書館にて。学校の授業だと大東亜共栄圏という言葉とともに名前だけ紹介された覚えがある石原莞爾であるが、どこかの文章で名前が出てきたので読んでみることとした。決戦戦争と持久戦争に分け、歴史にその根拠を求める姿勢は研究家でもあり実務家でもあり、Twitterなどで根拠のない主張が取り上げられてしまう我々は反省すべきである。他方、宗教的な統一については自然と行なわれるという認識や東亜形成後の世界、また東亜形成の目的などの面は疑問が残る。
図書館にて。人が犯罪に至る経緯の精神的な経緯を探れるかと思い手に取ったが、結局幼少期の心的外傷や脳の異常による可能性が述べられた印象で期待したものではなかった。事件の経過など面白い部分はあるが、それはルポなどでいいのかなと。いっそのこと担当者によって判断が異なる病名の定義や診断、法的責任に関する意見などに切り込んでもらいたかった。
図書館にて。2006年の書籍の文庫化と思われる。 内向きにこもりがちな人文学を非難しつつ、脱虚構化が主流になりつつある中で文献学的な読みを推奨している。うまくまとめることができないが、知識人として、また世界に影響を与えるアメリカの国民として対抗手段であることを述べている。十分に理解できたとは言わないが、こういう考え方や意見を述べる人が少なくなったとは感じた。いずれ再読したい
図書館にて。返却期限が来てしまったので174ページまでだが登録。 ニーチェ晩年の書であり、母や妹などへの嫌悪感を追加した文章(毒蠅)が註釈で補われている。ドイツ人の理想主義やキリスト教への嫌悪感などを明確に述べており、我こそ最良なりというような描きぶりは精神の異常かあるいはある種自虐的な独白だろうか。嫌われることはなかったと序盤に複数記載があるが、一方で孤独であったのだろうとも感じられる。 自由と理想、宗教など奇妙なものが幅を利かす中で精神的に追い込まれたのだろうかと邪推してしまうが、文に力があった。
図書館にて。いつかは読もうとずっと思っていた本。「誰かの不幸は全体にとっての善」という言葉で表される最善論は現代の我々にも突き刺さる。つまり、「あなたが我慢をしたことでみんなが喜んだ」という強要に聞こえる。それに対してカンディードは初めこそ最善説を信奉していたものの、道中の悲劇を繰り返すことで最終的に議論よりも実践を重視する立場に変わる。トルストイの「光あるうちに光の中を進め」もそうだが、農業に救いを求める傾向があるのは気のせいだろうか。 物語として目まぐるしく変わる展開は読んでいて面白かった。
図書館にて。下読みのプロによる懸賞小説についての本だが、編集者目線の書き方やコラム、文学賞の整理なども行われていてとても面白い。本を売る人間にもおすすめできる。サクサク読めた。
図書館にて。強欲なスクルージがクリスマスの精霊との出会いを経て改心する話。ファンタジーに溢れた内容ながら現実的な描写があり、クリスマスを祝う人々の姿が目に浮かぶようである。人の死を扱った内容でありながら暖かい結末を迎え読後感も良いのは名作と呼ばれる由来だろう。スクルージやタイニー・ティムのその後について具体的には触れられていないものの、良い結果になったのだと信じたい。人に傷つけられた時などに読むのに最良の本だと思う。
図書館にて。作者が選んだ唯一無二とも言える短編が収められており、その目新しさの解説や書き手の視点が面白いと感じた。特にトオマス・マン「幻滅」は面白かった。小説を1人で読んでいる時のちゃんと読めているのかという不安も解説がありながらだと対話的に読める。この本をきっかけとしてディケンズの小説を手に取って読むことにしたので読書案内としてもおすすめできる。
図書館にて。「信長」が面白いと思ってから「白痴」を読みそして今作を読んだ。堕落論を読もうと手に取ったが他のエッセイにも目を通した。一番印象に残っているのは「青春論」で「武士道」と「剣術」の違いを宮本武蔵の例を引きつつ述べていたのは面白かった。各エッセイともテーマはついているものの話題がさまざまに現れるので俯瞰したまとめ方が難しい。戦争の影響もあって、人間の本能的な部分を覆い隠す精神論や伝統に疑いの目を向けつつも、文化を発信する先端の人間にはならぬというような、良くも悪くも居酒屋にいそうな人だという印象。
登録し忘れていたので時期は適当。久々にレンタルでなく紙の本として買った本。Twitterで見て絵柄とストーリーが好きで買ってしまった。復讐心の煽られが気になるところではあるが、主人公の性格の良さがとても良い。重めの設定なので和むというわけではないけれど、社会の不合理にささやかな反抗とトラウマを植え付けていく様は見ていて楽しい
図書館にて。友人のブログの中にインドの方との対話があったことを思い出し手を取った。「存在」についての講義であるが、「ブラフマン」の存在をもとにどのように世界が構成されるかを論じており、ブラフマンの下位概念の仮定や物質の構成要素、「業」の存在などとの関連の中で各派が生まれてきたようだ。哲学的素養やインド的素養に乏しいので、宗教的な教義の本から手に取った方が良かったかもしれないと感じた。