謝罪コンサルと聞くと何故か阿部サダヲのイメージがでてきてしまうが、謝罪コンサルの山王丸はもっと腹黒くサイコパスなイメージ。エンタメ小説なのですらすら読めていいのだが、どうしても予定調和な感じは否めない。語り手の光希のキャラがどうしても自分と合わない場面が何回かあり、ちょっと残念だった。山王丸と氷室のコンビワークや氷室コーヒーのくだりをもっと見たかった。
初のカズオイシグロ作品。音楽と男女の仲がテーマとしてあるようだ。そのせいか読後感は村上春樹に近いと感じた。どことなく頼りない男性とあっけらかんと本質をつく女性、不満や反発をはらみながらもユーモアに溢れている。4作品目「夜想曲」はちょっとした映像作品にありそうなほど臨場感があり、2作品目「降っても晴れても」はアメリカのコメディ番組のようだった。翻訳者の腕もあろうが、とても読みやすい文章だった。
元雑誌編集者、現フリーライターの筆者による「人殺し」への面談やフリーライターとしての苦労などを描いた本。特に刊行間隔によっては鮮度で勝負できないので独自視点から切り込むという点は印象的だった。第2章の北村孝紘と最後の筧千佐子の記述分量が多かったか。和気藹々とインタビューをする割には記事の内容が辛辣であり、その落差に驚かされる。凶悪犯罪は最初は騒がれこそすれ、すぐに他の話題に消えてしまうが当事者、関係者からすればその後の生活が続いている。享楽的に事件のニュースを受け取ってはいけないと感じた。
図書館にて。ゲームの影響もあり一度読んでみようと手に取った。著者によってバージョンがあるようだが、本作ではマーリン、アーサー、ランスロット、トリストラム、ギャラハットなどが主役を入れ替わり進行している。ガーウェインとランスロットの最期に象徴されるが、キリスト教的な倫理観や懺悔が随所に見られた。一方で、アーサー王誕生のためとはいえ、ウーサーとイグレーヌについてはゴロイスに同情を、ウーサーに非難を与えるべきではなかったか?騎士道については各人それぞれのようだが、個人間の不道徳は強さでねじ伏せられるようだ。
図書館にて。魯迅は高校の授業で「故郷」を扱った程度だったが、内容が強烈だったのでとてもよく覚えている。初手の「狂人日記」からして迫力が違うが、その勢いが衰えることなく最後まで読み切ってしまった。解説を読むに儒教の教養があった方がより味わえるのだろう。魯迅が小説を書けたのはその前半期とのことなので、主な活動となった評論などについても読んでみたいと思った。
図書館にて。返却期限の関係上複数回に分けたせいかもしれないが、全体的な印象を掴みかねた。印象的なのは貧乏という割にお金を使うところと、アーネストという名前に恥じない生き方をしようと言った皮肉の場面だろうか。晩年にヘミングウェイが20代の頃を書き綴った文章だが、ユーモアと皮肉の混ざった若者らしい熱意がこもっていた。読むには少し早すぎたのかもしれない
図書館にて。最初の症状のところは読んでて共感もありミトコンドリアへの着眼などワクワクはしたが、内容は少し眉唾なものもあるかなと。後書きでは著者と相談の上変更割愛はしているようだが、日本で実践するとしてオーガニックをここまで推奨する必要はあるだろうか?他にも裸足のヨガや12章など、科学的か疑問な記述が見られた。文章中の✳︎は引用が有るのかと思ったが、本に引用元がない点も気になるところ。MCTオイルや普段使ってない食材、ヨガなど興味を持てる部分もあったが、あらゆる人に向けた「ハック」とは言い難いかもしれない。
前半はコーヒーの解説、後半は筆者のエッセイ集となっている。後半は共感する記述はあるものの、特にボーナストラックに関しては個人ブログのような印象を受けたので、編集者に意図を聞きたいところだ。 ところで、タイトルの「彼女」は誰だろうか?焙煎ではなく挽く者に関しては記載がなかったはずで、純粋にコーヒーのことかもしれないし、豆を挽く行為を何かに暗喩しているのかもしれない。豆を挽く行為をカフェを開く前の試行錯誤になぞらえているなら彼女は娘さんととれそうだ。もしかするとこの本は家族に向けた本なのかもしれない。
友人からもらって久々に長編を読んだ。ロシア語で書くウクライナ作家とのことだが、アネクドートなどロシアの雰囲気が感じられる。特に最後のギャンブルはロシア文学的な要素を感じられた。ヴィクトルの作家的な客観的視点からの考察など読み手を入り込ませすぎないように感じられた。不条理の文学ということでカミュっぽい部分もあるかと思い読んでいたが、自分の知らない部分でストーリーが進んでいくのはカミュらしさを感じた。翻訳らしく最初は読みにくい部分があるが慣れれば読みにくさも無くなった。背景の独立関係を知ってから読みたい。
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図書館にて。集中力の本で探しものが借りられていたので薄く読みやすそうな本書を手に取る。前評判はイマイチだが、3時間程度で読める手軽さ、読みやすさはかなり良い。脳内回路や睡眠の2プロセスモデルなど前半のスピード、スタミナの部分はなかなか面白かった。ただ、後半のセレクト、ステップについてはよくある仕事本の域を出ておらず、余計な記述もある。また、筆者の具体例が面接のエピソードトークのような、若干自慢混じりで腹が立つ。計画を立てるのが苦手な身なので辛辣になりがちだが、こういう見方もあるのだぐらいに読んでおこう。
本好きアメリカ人女性とイギリスの古書店店員とのやり取りである。作者が往復の手紙を書籍にする決断をできるあたりに作者がテレビドラマのシナリオ執筆をしていた経験が活きている気がする。江藤淳の翻訳だが、批評家のイメージが強かったので少し驚いた。解説の中で「本」であるからこそのやりとりということが言われていたが、どうも引っかかる表現。 読後感はとても良いのだが、名作たる所以は?と聞かれても答えに窮してしまう。そういう意味で往復書簡ではあるが、素晴らしい小説なのかもしれない。
話題になってからずっと読みたかった本。精神科医である筆者がスマホの人類への影響について、脳の歴史的な役割を述べながら進化論的に論じる。スマホがアドレナリンを刺激し人から手放せなくさせる一方で、運動や睡眠の不足やブルーライト、SNSなどを通じ人類に悪影響を与えている。自然生活への回帰主義かと思ったが、最後に筆者自身でそれを否定していた。 新技術による社会のニーズと人類の適応は一労働者として他人事ではない。とはいえ個人でできることは運動や瞑想くらいだろうか。漠然とした懸念が言語化されておりとても良かった。
Q&A形式で展開されているので読みやすく、2時間もかからず読み切れた(流し読みだけど)。とはいえたしかに気になるなぁという部分は網羅されていたように感じる。具体的なモデルをベースにしても良いことを書いてたのは初めてだったかも?視覚的なイメージをかなり意識している印象だった。行き詰まった時に読む本だと思われる。
図書館にて。脳のパフォーマンスの要素として瞑想、睡眠、姿勢、血糖値(GI)を上げており、特に瞑想については重要視していた。筆者が東大医学部からハーバード大学で公衆衛生学を学んだということもあり、読みやすくまた説得力もある。余分な記述が少ないのも好印象。昨今の健康についての本の要所は抑えられているように感じた。
図書館にて。予防医学や栄養学について日本が後進的という作者の主張はうなづける。事実、そのような国内書籍は眉唾物も多いと感じてしまう。本書は理論と実践がバランスよく書かれており、人工甘味料など参考になる話もあった。一方で、先述したような懸念は本書も免れないだろう。後の研究などで効果が判明することもあると考えると、(作者の思惑とは違うだろうが)まさに「食べる投資」である。作者として正しいと信じていることを書いているとは思うが、同時に先進的なクリニックの院長であるということは認識しておく必要があろう。
図書館にて。短編小説をメインに書いている筆者だがハウツー本というよりはエッセーに近いか。すらすらと読めてしまうが、内容はあまり残らなかったような…、主題→例示とコメントという新聞のコラムのような感じの書き方が印象的だったか。
古本屋で見かけて購入。東大生が各自のモチベーション方法を紹介する本。一時期あった東大ブームに乗っかった本にも見えなくはないが、なるほど三者三様でありながら何かと理由あっての方法であるあたりは東大生が書いているのだと感じる。
書店で立ち読みからつい買ってしまった本。脳の各部位が擬人化されわかりやすくもあり、学生の頃のやり方が通用しなくなってきた大人への処方箋でもある。暗記から理解へというように本書も理解させることに力を入れており、なかなか納得感がある。〇〇を食べると良い!のような栄養素にフォーカスした記述も少なく、脳に対して真正面から取り組んでいる点でとても良かった。